漢法科学財団友の会より

  

      漢法科学財団友の会


早いもので漢法科学財団友の会も4月より7期目を迎えることになりました。

ひとくちに「漢方を研究する」といってもその理論や処方・薬物といったものの各論的 事項だけが研修の
テーマではありません。それらの背景としてのものの見方、考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、それが“ひとのいのち・やまい”といったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

ところで、現状の生薬療法をみてみますと、漢方というからには、少なくとも中国に発祥した生薬療法とみるべきでしょうが、ごく一般的には日本で古来より使われてきたドクダミやゲンノショウコを、また明治時代以後に使われだしたセンブリも「漢方薬と思われて」いますし、ヨーロッパで使われてきた生薬も十把一からげに漢方薬とされてはいないでしょうか。
また中国の生薬療法にもいくつかの流れがありますが、「漢方」 といいその独自性を打ち出すためには、そこに近代医学的対症療法、あるいは抗生剤や抗癌剤のような一つの対象に的を絞った対象法とは異なる用薬法がなければなりません。
いかなる考え方の下に生薬を使うのか、これが重要なのではないでしょうか。こんな視点から、“漢薬を用いた一つの治療法”という意味で当財団は漢法科学財団という名称を用いた訳です。そしてその中で皆様と語らいの場を設けようと友の会を発足させ、今期で7年目を迎えます。今後も時には大きな命題に、また時には各論的問題に取り組んでいきたいと考えております。

「健康に生きるとは」という大目標を前提に、漢法ということに限ることなく、広く一般健康に関する演題を取り上げ、年4回(2.5.8.11月)の講演会も24回を終えました。今後も、その時々の話題をも参考に入れつつ、企画を進めていきたいと考えております。
また、年2回(4.10月)の薬草観察会(健康ハイク)と、少し遊び心を加えたバス旅行も続けていくつもりでおります。

                     (代表:伊沢 和光)               

 

        活動内容計画

日時

活動内容

講師

2001年5月10日

第16回 講演会(学術公開講座)
    「はり・灸」のはなし

大坪 邦夫先生

8月02日 第17回 講演会
    「看護婦の基本的責任」
本間 ヨシミ先生
8月26日 第46回 薬草観察会(健康ハイク)
     アルプの里
吉村 衛 先生
10月14日 第47回薬草観察会(健康ハイク)
     上養沢鍾乳洞
伊沢 和光先生
11月01日 第18回 講演会
    「脳神経外科領域と漢方」
藤本 司 先生
2002年2月07日

第19回 講演会
          「漢方と薬局製剤」

三上 正利先生
04月21日 第48回薬草観察会(健康ハイク)
     武蔵増戸・横沢入
吉村 衛 先生
04月21日 第20回 講演会
    「国産生薬生産の現場から」
白井 義数先生
06月08日 薬草観察会
     東京薬科大学・薬用植物園
指田  豊先生
08月01日 第21回 講演会
    「気の概念について」
林  一 先生
08月25日 第49回薬草観察会(健康ハイク)
     玉原湿原・ラベンダー
吉村 衛 先生
10月06日 第50回薬草観察会(健康ハイク)
     御岳山(七代ノ滝)
児島 脩 先生
11月07日 第22回 講演会
    「効けば効くほど薬はこわい-」
伊沢凡人・辰野高司先生
2003年2月06日 第23回 講演会
    「アロマテラピーの歴史と現状 」
高橋 佳璃奈 先生
04月27日 第51回薬草観察会(健康ハイク)
     御岳山(七代ノ滝)
吉村 衛 先生
05月08日 第24回 講演会
         「在宅ケアについて」
串田 一樹先生
06月08日 第3回植物観察会-東京都薬用植物園 伊沢 和光 先生
08月07日 第25回 講演会
    「最近の薬事行政」
清水 虎雄 先生
08月24日 第52回薬草観察会(健康ハイク)
   榛名湖周辺
吉村 衛 先生
10月05日 第53回薬草観察会(健康ハイク)
   奥多摩、高水三山
伊沢 和光 先生
11月06日 第26回 講演会
       「諸外国における代替医療」
児島 脩 先生
2004年 2月05日 第27回 講演会
    「痴呆症、脳血管障害に関する漢方薬」
佐藤 知樹 先生

 

   

健康ハイクの報告

第49回薬草観察会(健康ハイク)東京薬科大学・薬用植物園

人の身体は、立って歩くようにできています。そして、運動量が減少すると、内臓や血液、脳、筋肉などが運動不足の生活になじみ、身体全体の活力が低下し、生活習慣病のリスクも高くなります。
東京薬科大学の薬草園では、珍しい植物も含め、非常に多種の植物を見る事ができ、丘稜の自然観察路では軽い山歩きが楽しめます。

東京薬科大学薬用植物園


集合場所:京王線 平山城址公園駅、改札口前
コース  :植物園入り口→展示温室→見本園→圃場→自然観察路
持ち物  :弁当、水筒、メモ帳、雨具
講師   :指田豊先生、伊沢和光、上間たつの、他

         *どうもごくろうさまでした。


     

   秋の健康ハイクは、無事催されました!


上養沢鍾乳洞、御岳山


日時   :2001年10月14日(日)
集合場所:JR武蔵五日市駅、改札口前
コース  :武蔵五日市駅→西東京バス;
上養沢→日の出山→御岳山頂御岳駅
持ち物  :弁当、水筒、メモ帳、雨具
講師   :児島脩、伊沢和光、上間たつの、他

全工程  :約7キロ

 *どうもごくろうさまでした。


 


        “トレッキングと温泉の日帰りバス旅行(報告)

雲の上の花公園アルプの里



新潟県の最南端、越後湯沢温泉の西にある大峰山(1172m)の斜面に、昭和55年に作られた高山植物園“アルプの里”があり、ここでは世界の植物も含めて約1000種の花を本来であれば、見ることができますが、残念なことに、ちょうど、雨に邪魔されたために・・・・・。
奥ヒマラヤの秘境、ガネッシュヒマールに咲く幻の花、青いケシの咲くロックガーデンや湿生植物も見ることができるはずでしたが、残念でした・・・・・。
でも、帰りには、山麓の“コマクサ湯”でゆっくりと温泉につかり、疲れを癒してきました。
自然を愛する人達と共に、自然に接する時間を共有し、自然について語り合うことができたことは、非常に有意義でありました。

 *どうもごくろうさまでした。

日時:2001年8月26日(日)

     
  
場所 :アルプの里

 (事務局:服部. tel-03-3291-6679)

    

         

効けば効くほど薬はこわい
伊沢凡人、辰野高司・著<ダイヤモンド社・1600円>


いまの西洋医学は、対症療法というより、対象療法だという。つまり、微生物などやっつける対象を探し出して、抗生物質のような医薬を作り出している。ところがその薬は、人間の身体もやっつけるのだ。

かといって漢方がいいわけでもなく、やはり対象療法が多い。そこで「漢法」だが、これは身体のいろいろな穴(出口)を上手に使って病気を治すものだ。体外に不要物を出す「吐、下、汗」法で、吐く、下す、汗を出すのである。下痢は止めてはいけない、悪いものを出そうとしているからだという。納得できる。

要するに、身体の流れをよくするのであり、「生きている」とは流れている」ことだという。対象療法も救急では必要だが、できる限り生体の流れで治すのがいい。(規)


  (毎日新聞2002年2月17日東京朝刊から)


    
保健の科学43巻8月号 本体価格1,000円
巻頭のことば
健康の節目
豊川 裕之
前東邦大学教授
特集 漢法を知る
―中国医学の生薬療法と混同されやすいわが国・固有の生薬療法―和法 伊沢 凡人,他
漢法科学財団
用薬の発想 伊沢 凡人,他
漢法科学財団
漢法に科学性をもとめて―傷寒論の解読― 伊沢 凡人,他
漢法科学財団
針・灸概説 伊沢 凡人,他
漢法科学財団
連載 在宅看護
訪問看護ステーションの効果的運用の一事例 浅見 美千江
(社)石川県医療在宅ケア事業団訪問看護管理部
連載 栄養指導の現場から
要援護高齢者に対するホームヘルパーによる支援の実態 長澤 伸江
名古屋女子大学短期大学部
連載 海外情報
WHO関係 Weekly Epidemiology Recordより(14) 城川 美佳
東邦大学公衆衛生学教室
調査・研究
「健康」という語の起源とその流布について 八木  保
京都大学名誉教授