漢法科学財団友の会


  学術公開講座

(第36回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

ところで、現状の生薬療法を見てみますと、漢方というからには、少なくとも中国に発祥した生薬療法とみるべきでしょうが、ごく一般的には日本で古来より使われてきたドクダミやゲンノショウコを、また明治時代以後のつかわれだしたセンブリも「漢方薬と思われて」いますし、ヨーロッパで使われてきた生薬も十把一からげに漢方薬とされてはいないでしょうか。また中国の生薬療法にも幾つかの流れがありますが、「漢方」といいその独自性を打ち出すためには、そこに近代医学的対症療法、あるいは抗生剤や抗がん剤のようなひとつの対象に的を絞った対症療法とは異なる用薬法がなければなりません。
いかなる考え方の下に生薬を使うのか、これが重要なのではないでしょうか。こんな視点から“漢薬を用いた一つの治療法という意味で当財団は漢法科学財団という名称を用いたわけです。

今期は代表的な漢方生薬を個々に取り上げその作用、使用法などにつき検討していきたいと思います。
まずは、「人参」「麻黄」「大黄」「茯苓」等の生薬を取り上げていく予定です。


              
演題 人参の効用」 

講師 : 伊沢 和光 先生

略歴 : 順天堂大学医学部卒
        元順天堂大学医学部整形外科 講師
    いざわ漢法クリニック代表  
    漢法科学財団 友の会 代表

著書 : 薬草、野草の効用
       
くすりになる草、木
    排せつ健康法 
        薬効のある野菜、山野草 他多数

 

演題 人参について」 

講師 : 佐藤 知樹 先生

野菜のニンジンと薬用のニンジンとの違いを知らない人もおりますが
ニンジンが体に元気を与えるものだと認識している人が多いのも事実。
ですから、体に“補う”ものとしてのニンジンを再確認いたします。

   *高麗人参の役割
   *“補剤”としての人参漢方製剤(補中益気湯、人参養栄湯、他)
   *韓国における「元気のもと」 高麗人参!

     

鍼灸的立場から・・・・ 

             「からだを温めるハリ治療」

                大坪 邦夫 先生

日時 : 2006年 5月 11日(第2木曜日)
     午後7時〜午後9時

会場 :東京・五反田 「ゆうぽうと」

会費 : 2000円(学生:無料)

主催 : 漢法科学財団
          (事務局:03−3291−6679)


*「ミニ講義」に関して


講演会のより一層の充実を図るべく、「各種漢方学会、最新医学トピックス」「方剤の解説」「漢方入門講座」他のミニ講義を予定しております。 
(次回は庄司or 佐藤が担当予定)
皆様にも“こんなタイトルで”ミニ講義をという希望がありましたら
是非、事務局(服部)まで、ご一報ください。 

漢法科学財団友の会事務局
TEL
:03−3291−6679

  

(第33回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

前年度は、「頭痛」「冷え性」「肩こり」「腰痛」といった身近な健康障害を東洋、西洋医学の両面から勉強してきましたが今年度は成人病、生活習慣病と呼ばれる、重要な全身疾患を取り上げていきたいと思っています。すでにおしらせしたテーマの予定が若干変更になりましたので、改めて以下のようにお知らせします。

         2005年08月04日    高脂血症
                11月10日    高血圧
          2006年02月02日    脳血管障害

これらの疾患はどれも互いに深く関連しあって進行する病気です。
健康な生活を続けるために正しい知識と共に毎日の暮らし方まで話し合いましょう。

【漢法講演会の夕べ・33】


              
演題 高脂血症」 

 (副題:あなたの毎日の生活を見直そう!

講師 : 伊沢 和光 先生

略歴 : 順天堂大学医学部卒
          元順天堂大学医学部整形外科 講師
     いざわ漢法クリニック代表  
     漢法科学財団 友の会 代表

著書 : 薬草、野草の効用
          くすりになる草、木
     排せつ健康法 
          薬効のある野菜、山野草 他多数

* 司会進行: 庄司 良文

講師: 漢法的立場から・・・・・

     佐藤 知樹 :  「高脂血症と漢方薬」 を!
         
       1.脂質代謝を改善する生薬(柴胡、紅参、ウコン他)
       2.血液をサラサラする食べ物(いわし、玉ねぎ、大豆他)
       3.漢方薬:大柴胡湯、防風通聖散、桂枝茯苓丸他

     鍼灸的立場から・・・・ 

           大坪 邦夫 : 鍼灸で 「高脂血症」 を

日時 : 2005年 8月 4日(第1木曜日)
     午後7時〜午後9時

会場 : 『豊島区立勤労福祉会館』
     (池袋西口・池袋消防署燐/TEL03-
3980-3131)

会費 : 2000円(学生:無料)

主催 : 漢法科学財団
          (事務局/03−3291−6679)

 
 

(第32回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

前年度は、「頭痛」「冷え性」「肩こり」「腰痛」といった身近な健康障害を東洋、西洋医学の両面から勉強してきましたが今年度は糖尿病、高血圧症等、重要な全身疾患を取り上げていきたいと思っています。

5月の公開講座は 「糖尿病」 について講義していただきます。
2002年の調査では糖尿病の予備軍は1620万人、成人男性の約23%、女性の約18%、5年前と比べて約250万人増加しています。貴方もその1人かもしれません。
「頭痛」「冷え性」「肩こり」「腰痛」といった身近な健康問題ばかりではなく、糖尿病についての知識と、普段の生活、暮らし方
についても皆で考えてみましょう。
伊沢和光先生に、近代医学的立場から、その要因となるものや、そこから派生する問題、治療方法説明していただきます。
庄司先生には漢方薬、大坪先生には鍼炎的立場からの対処法を述べていただきます。

【漢法講演会の夕べ・32】


              
演題 糖尿病」 

 (副題:あなたの毎日の生活を見直そう!

講師 : 伊沢 和光 先生

略歴 : 順天堂大学医学部卒
          元順天堂大学医学部整形外科 講師
     いざわ漢法クリニック代表  
     漢法科学財団 友の会 代表

著書 : 薬草、野草の効用
          くすりになる草、木
     排せつ健康法 
          薬効のある野菜、山野草 他多数

* 司会進行: 

講師: 漢法的立場から・・・・・

     庄司 良文 : 漢方薬で 「糖尿病」 を!
         佐藤 知樹
         土間たつの

     鍼灸的立場から・・・・ 

           大坪 邦夫 : 鍼灸で 「糖尿病」 を

日時 : 2005年 5月 12日(第2木曜日)
     午後7時〜午後9時

会場 : 『豊島区立勤労福祉会館』
     (池袋西口・池袋消防署燐/TEL03-
3980-3131)

会費 : 2000円(学生:無料)

主催 : 漢法科学財団
          (事務局/03−3291−6679)

 
 

(第31回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

さて、今期(平成16年度:第8期)講演会は、「頭痛」 「冷え症」 「肩こり」 「腰痛」といった身近な問題について考えていきたいと思いますが、今回は前回の「肩こり」に続き「腰痛」を取り上げます。
働き方、暮らし方の急速な変化に伴い、働く人の体に起こった一番大きな歪みのひとつが腰痛だと思われます。
腰痛には、単に一次的な休息で軽減するものもありますが、重大な疾患が隠れている場合さえありますからこの機会に、勉強しておきましょう。
伊沢和光先生に近代医学的立場から、その要因となるものや、そこから派生する問題、治療方法を講演していただきます。
そして、佐藤先生と大坪先生に漢方薬や鍼灸的立場から対処法も述べていただきます。皆でデイスカジションいたしましょう。

【漢法講演会の夕べ・31】


              
演題 腰痛」 

 (副題:あなたのこんな姿勢が「腰痛に」!

講師 : 伊沢 和光 先生

略歴 : 元順天堂大学医学部整形外科
     いざわ漢法クリニック代表  
     漢法科学財団 友の会」代表

著書: 薬草、野草の効用
          排せつ健康法 他多数

* 司会進行: 庄司 良文

講師: 漢法的立場から・・・・・

     佐藤 知樹 : 漢方で「腰痛」を解消!

     鍼灸的立場から・・・・ 

           大坪 邦夫 : 「お灸」で腰痛をとりましょう!

日時 : 2005年 2月 3日(第1木曜日)
     午後7時〜午後9時(約2時間)

会場 : 『豊島区立勤労福祉会館』
     (池袋西口・池袋消防署燐/TEL03-
3980-3131)

会費 : 2000円(学生:無料)

主催 : 漢法科学財団(事務局/03−3291−6679)

   

(第29回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

さて、今期(平成16年度:第8期)講演会は、「頭痛」 「冷え症」 「肩こり」 「腰痛」といった身近な問題について考えていきたいと思いますが、今回は前回の「頭痛」に続き「冷え症」を取り上げます。
「冷え症」は、女性にとっては大変な問題で、冷え症からくる様々な体の不調に悩まされている女性は非常に多いと思われます。
近代医学的立場から、その要因となるものや、そこから派生する問題、治療方法説明していただき、漢方薬や鍼炎的立場からの対処法を述べていただき、皆でデイスカジションいたしましょう。

【漢法講演会の夕べ・29】


              
演題 冷え性」

講師 : 伊沢 和光 先生

略歴 : 昭和44年順天堂大学医学部卒業
     いざわ漢法クリニック代表  

著書: 薬草、野草の効用
          排せつ健康法 他多数

講師: 漢法的立場から・・・・・土間 たつの
                   庄司 良文
                   佐藤 知樹
     鍼灸的立場から・・・・ 大坪 邦夫

日時 : 2004年 8月 5日(第1木曜日)
     午後7時〜午後9時(約2時間)

会場 : 『豊島区立勤労福祉会館』
     (池袋西口・池袋消防署燐/TEL03-
3980-3131)

会費 : 2000円(学生:無料)

主催 : 漢法科学財団(事務局/03−3291−6679)

後援 : マジカルソフトサービス株式会社
     MSSセルフメディカル研究所

  

      

(第27回) 公開講座のお知らせ


ひとくちに
漢法を研究すると言っても、漢法の理論や処方・薬物などの各論的事項だけが研修のテーマではありません。それらの背景としての、ものの見方・考え方を勉強していくことも、極めて重要なことと思われます。
さらには、ひと・いのち・やまいといったより深い問題を考えていくことにもなろうかと思います。

今回は、佐藤先生から「痴呆症、脳血管障害に関与する漢方薬」と題して、お話をうかがいます。先生は、今年、「虚血性脳血管障害に対する黄連解毒湯および当帰芍薬散の効果」と題した論文で昭和大学医学部より医学博士の学位を取得されました。
現在も、昭和大学藤が丘病院脳神経外科 藤本司教授のもと、血管新生、血管増殖に関連した動物実験等を続けられております。
現在、痴呆症、アルツハイマーにどのような漢方薬がつかわれているか、又、動物実験において、当帰芍薬散、黄連解毒湯が脳血管障害に対し、どのうように作用しているかをお話していただきます。
これから、我々も含め、お年寄りがいかに質の高い、充実した生活を送ることができるかということが生きていく上で非常に大切になってくると思います。特に、脳梗塞、脳出血の原因にもなります虚血性脳血管障害の予防、治療は是非、理解しておきたいことのひとつです。


              
演題 痴呆症、脳血管障害に関する漢方薬

講師 : 佐藤 知樹 先生

「虚血性脳血管障害に対する黄連解毒湯および当帰芍薬散の効果」で昭和大学医学部におき学位を取得

略歴 : 昭和大学医学部藤が丘病院 脳神経外科 特別研究員
     昭和薬科大学 放射化学研究室 元助手
     玉川大学農学部 大学院資源生物学専攻
     日本医歯薬専門学校 「漢方応用学」 講師
     MSSセルフメディカル研究所 所長

日時 : 2004年 2月 5日(第1木曜日)
     午後7時〜午後9時(約2時間)

会場 : 『豊島区立勤労福祉会館』
     (池袋西口・池袋消防署燐/TEL03-
3980-3131)

会費 : 友の会々員2000円/一般参加3000円
    (当日、会場受付にてお支払い下さい)

   

  

第26回 「漢法講演会の夕べ」報告


演題
  「ウコンをめぐる話題」

講師  :児島 脩 先生
(北里大学薬学部 助教授)

日時 : 2003年11月 6日(第1木曜日)

会場 : 池袋『豊島区立勤労福祉会館』

今回は、北里大の児島先生からウコンを(ターメリック)について、お話をうかがいました。
先生は先ごろこのウコンを調査に、ベトナムへ行ってこられたばかりです。
カレー粉の主原料として、カレー好きの日本人には、大変身近な植物ですが、健康ブームの中、錠剤や粉末はどの形で、健康食品として愛好する人々も多いようです。

   

  

第25回 「漢法講演会の夕べ」報告


演題
  「生薬・ハーブ・サプリと法規制」

講師  :清水 虎雄 先生
(元 東京都薬用植物園々長)
(現 救心製薬・薬事部々長)   

日時 : 2003年 8月 7日(第1木曜日)

会場 : 池袋『豊島区立勤労福祉会館』

巷には医薬品の他、医薬部外品、健康食品、機能性食品、サプリメントなどなど、健康をうたい文句に実にさまざまな商品が次々にあふれ出ています。健康茶、アガリクス、霊芝、コラーゲン、グルコサミン、プロポリス、ロイヤルゼリーこういった商品には、何が規制があるのでしょうか。健康に関することだけに、心配になってきます。
そこで今回は「生薬、ハーブ、サプリと 法規制」 と題し、清水虎雄先生に幅広いお話しを頂きました。     

   

  

第24回 「漢法講演会の夕べ」報告


演題
  「在宅ケアーについて」

講師  :串田 一樹 先生
(昭和薬科大学 医療薬学教育研究施設 講師)   

略歴 : 昭和薬科大学S49年卒業
     物理学教室助手
     医療薬学研究施設講師
     諏訪教育、社会薬学分野の教育研究に従事
     現在は薬剤供給の視点から在宅医療のシステム構築に取り組んでいる。

日時 : 2003年 5月 8日(第2木曜日)

会場 : 池袋『豊島区立勤労福祉会館』

高齢社会の到来によって、在宅で医療や介護を受ける在宅療養者が増えてきました。
そのため、在宅療養者を支援する観点において、地域保健医療のあり方が見直され、診療所、訪問看護ステーション及び薬局などが連携して、生活者の視点から総合的なサービスを提供する時代になってきました。
このような時代の中で、薬局の機能や薬剤師はどのような役割を果たせばよいでしょうか。
こんな視点から串田一樹先生にお話を伺いました。


      「ミニ講義」

“お年寄りと漢方薬”

 庄司 良文先生

昨今、痴呆症・骨粗しょう症等のお年寄りの症状へ
漢方エキス製剤が応用されるようになりました。
その一端を、簡単にご紹介しました。

  

第23回 「漢法講演会の夕べ」報告

                            
演題 「アロマテラピーの歴史と現状」

講師 : 高橋 佳璃奈 先生

日時 : 2003年 2月 6日(第1木曜日)

会場 : 池袋『豊島区立勤労福祉会館』

外国の香草類がハーブの名で、おしゃれな料理の脇役や浴剤などとして女性におおいにもてています。香りが人にもたらす薬効も古くから広く注目されてきました。
今回はアロマテラピー、アロマケアの日本や諸外国での歴史や現状、健康や美容面での活用の様子をうかがいました。

  
  

第22回 「漢法講演会の夕べ」報告

                    演題: 「効けば効くほど薬はこわい」

                    
講師: 伊沢凡人 先生
                         辰野高司 先生

伊沢凡人先生

辰野高司  先生

講師略歴 

伊沢凡人:
東京大学医学部生薬学教室選科卒、日大講師東京都嘱託をへて、
       現在、いざわ漢法クリニック顧問。
辰野高司:東京帝国大学医学部薬学科卒、東京理科大学薬学部教授。
       理化学研究所主任研究員を経て、
       現在、理化学研究所名誉研究員、日仏薬学会会長、薬学博士。 

     

  

効けば効くほど薬はこわい


伊沢凡人、辰野高司・著<ダイヤモンド社・1600円>


いまの西洋医学は、対症療法というより、対象療法だという。つまり、微生物などやっつける対象を探し出して、抗生物質のような医薬を作り出している。ところがその薬は、人間の身体もやっつけるのだ。

かといって漢方がいいわけでもなく、やはり対象療法が多い。そこで「漢法」だが、これは身体のいろいろな穴(出口)を上手に使って病気を治すものだ。体外に不要物を出す「吐、下、汗」法で、吐く、下す、汗を出すのである。下痢は止めてはいけない、悪いものを出そうとしているからだという。納得できる。

要するに、身体の流れをよくするのであり、「生きている」とは流れている」ことだという。対象療法も救急では必要だが、できる限り生体の流れで治すのがいい。(規)


                   (毎日新聞2002年2月17日東京朝刊から)

 

             
 

“効けば効くほど薬はこわい”
                            -からだの言い分を聞きなさい-


        伊沢凡人先生自身による要旨

▲西洋医学は、
(イ)臨床検査法( ロ)外科 (ハ)救急医療及び (ニ)基礎医学(膠原病、アレルギー性疾患、糖尿病、癌などの発症のメカニズムを解明したなど)の4分野で成果を挙げたので世界制覇を成し遂げた。
 だが薬物療法の分野ではかなりボロを出してしまった。薬禍や薬害死の多発はそのことを示している。

薬害多発の原因究明のため、
われわれは、まず用薬の発想という新概念を提出し、問題点を整理した。例えば、東洋医学(特に、漢法)のほうでは、よく証(しょう)ということを言うが、一体、どういう考えで薬を用いようとしているのか、−これは西洋医学の側から、しばしば質問されるテーマである。
 ところがそういう西洋医学側の薬理や薬物学書を見ると
(イ)個々の薬物の作用のメカニズム 
(ロ)体内における代謝の過程、 及び
(ハ)副作用という甘い考えで、 一応その毒性にもふれている。
 しかし、どういう考えで薬を用いとうとしているかという視点(用薬法上の視点)については、やはり全くふれていない。
 われわれは、西洋医学の用薬法は全て対象療法であることを突き止めた。対象療法という用語も新しい造語であるが、この中には旧来の対象療法も含まれる。なぜなら、従来の対象療法とは、例えばカゼの病人に現われる熱、クシャミ・鼻水・咳など、その一つ一評定症状を対象に選んで、それを一つ一つ中和抑制する対象療法だからである。
 ところが化学療法剤や抗生物質の出現によって、これらは従来の、対象療法というワクでは包み切れなくなってしまった。そこで中には病原微生物をやっつけるのだから原因療法剤だなどと言い出すものも現われた。しかし病原微生物という概念規定それ自体も本当は正確ではない。例えば結核菌に感染しても(ツベルクリン反応陽性)、その中から発病(肺結核症)する人は、ほんの僅かでしかないからである。
 又、免疫力を喪失した人では抗生物質も効き目を現さないからである。従って、化学療法剤や抗生物質も亦、厳密に結核菌とか赤痢菌などという微生物を対象に選んで、それを抑制する対象療法剤である。すなわち西洋医学の用薬法はすべて対象療法である。


 
次に今の薬物の毒性を

従来の副作用という概念で捕らえるのは、なぜ甘い考え方というと、従来の副作用というのは可逆的病変に属し、その薬を止めれば(病状は)元に戻るからである。ところが有機合成化学などのしんぽで、薬の作用性が強化されてくると、例えばサリドマイドによるアザラシ仔症、ストマイによる聴覚障害、クロロキンによる網膜症クロラムフェニコールによる再生不良性貧血、キノホルムによるスモン病などを見れば解るように、その病変は、薬を止めても元には戻らない。これらは全て不可逆の病変を  齎したからであり、従ってそうなったらおしまいなのである。
 すなわち、有機合成化学の進歩と分子生物学の発達で強力化した西洋医学の薬の多くは、人体内の正常な酵素系のブロッカーと化してしまったから、猛基には戻らない不可逆の病変を誘発した。それが薬禍であり、時には薬害死到らしめるような事にもなった。

 そこで薬毒は一味であると総括した。
つまり生まれながらにして、生体にとっては毒物だと規定(主張)した。例えば、随って今の薬の多くは肝臓毒でありアレルギーを誘発するし、それが細胞核の酵素系のブロッカーである場合は、限りなく発ガン性に近い変異原性を持ったものになることをも予見し、その予見は、不幸な事だが的中し、抗がん剤には以上の理由から発ガン性があるとも指摘しておいた。一見矛盾するようだけれども、変異原性が有る以上、それは否定できないし、又、がん細胞のほうがその抗がん剤に耐性を獲得し薬性を失う事も有るから、この征服の発想(対象療法)はこのままいけば病像を複雑化したものにしてしまい、混迷に導くだろう。
 そこで、ひとまず今の薬の使用は外科と救急医療及び慢性疾患の急性増悪期に限定すべきことを主張しておいた。
 ところが、現状は、高ステロール血症、本態性高血圧症慢性過血糖症候群(糖尿病)、痛風、アレルギーのような慢性の経過を辿る諸疾患用の薬の場合にも、その効率性を求めるあまり、同質の野発想、つまり酵素系のブロッカー剤を合成し臨床用に供し始めてしまったため、薬禍や薬害死を増加させる事になってしまった。

 ▲近代医学の背景には、
長い歴史のある西欧文明の思潮が寝ずよく染み込んでいる。それは自然を支配し征服しコントロールしょうとする頭脳主義ともいうべき思潮である。
 しかしこの思潮は、たまたま不可逆的病変群に対応するには誂え向きである。例えば、癌の病巣、肺結核患者の空洞巣、変形してしまった骨症患、不全に陥ってしまった腎臓などの場合に次善の対策を実施する医学として重要であり、又、誂え向きである。言い換えるとこれは不可逆的病変群に向かった医学の体系であるり、西洋医学の最も得意とするジャンルである。そして、その範囲においては多大の貢献をしている。総括すると、西洋医学とは、事前の対策を実施する医学の体系化だといっても良いであろう。
 しかし、ここで見誤ってはならないことは
(イ)その進歩の中味が、不可逆的病変群というジャンル内のものであるということ
(ロ)それは不可逆的病変群を可逆的病変群に、つまり元通りに押し戻すのではなく、あくまで次善の(対)策に過ぎないという事、
(ハ)つまりは、いかに化学技術が発達しても、この生体支配のルールそのものは変えられるものではないということ、言い換えると、人為ではどうにもならない領域(段階)であるとの認識を確認しておかねばならないということ、
(ニ)対象療法剤もまた不可逆的病変用に限られるべきものであるということ。

 ▲西洋医学の対象療法とは異なる用薬法が、
東洋医学(特に『傷寒論』医学)の中にあるかないかを追求した。従って、これは従来の、今までに伝わるいろいろな処方を追い掛け回す“漢方”とは、“本質的に”異なるものだとの認識に立っている。
 そして今からだと、30-40年程前になるが、食中毒(吐き下しと熱発)のさい、生体側が示す対処法の中にヒントを得、そこから対象療法とは異なる用薬法を学ぶ事ができ、『傷寒論』との対比を試みた。

 具体的にいうと、
生体側は、悪いものが侵入したら、
(イ)胃袋中にある間に吐き出しなさいと教えている。つまり“吐法”である。
(ロ)次に腸までいってしまった場合は、体内に吸収される前に下してしまいなさいと教えている。
これが下法(げほう)の意味である(この場合は排便であるから、下法の大)。
 具体例を示すと、徳川の末期から明治へかけて大流行したのはコレラcholeraであるが、ひどく下痢をする(暴瀉)。そのため死因は脱水症であった。生体側はコレラ菌毒素で中毒しないよう、先手を打って下痢を目論んだわけである。
 腸内の流れが悪いとアトピーの痒さの原因であるヒスタミンの化生率も高まり、また発癌性ニトロソアミン類の化生率も高まるが、下法はそれを予防し、又、化生してしまったものは早く出す治療法でもある。
 そして、それでも吸収された分については、グルクロン酸抱合及び硫酸抱合という解毒機能をもった肝臓の働きを受けた後、血中に入り、血中に入ったものは小便(下法の小)及び汗腺・脂腺から排泄させるしくみになっており(汗法 かんほう)、そして食中毒の発熱は、血行を促進し、尿と汗(油をも)の排泄を高めて、解熱に導く。
 つまりこの知恵に学び、用薬しようとする法で、吐・下・汗法と呼ぶことにした。

そして『傷寒論』は
Treatise on fevers と英訳される通り、発熱性疾患にほぼ限定してでは有るが、生薬療法の筋道を系統化した後漢時代の名著であり、詳しくは『傷寒論』と言い、現在その雑病の部分は『金匱要略(きんきようりゃく)』の名で伝わっている。しかしこの部分は、『傷寒論』のように、系統化が困難であった為と思われるが、そのため処方の羅列に終わっている。
 では『傷寒論』では、どう系統化されているかというと、人の体質を“虚の症(きょのしょう)”にわけて、つまり弁別し、同じ発熱疾患でも、前者の場合は麻黄剤を軸に据え、後者の場合は麻黄を抜き(取り除き)桂枝生姜剤を軸に据えている。これは発汗作用の強い麻黄(まおう)に虚証の人は体力的に絶えがたい為であり、それをも見抜いていた証拠である。しかし、現時点で言うと、実証の患者でも肺結核症、気管支拡張症を患っている人(肺虚)にとって麻黄剤は耐えがたい。
 さて以上は見事に熱病者を治す立場にたった治療法の極意と言っても良いであろうし、この体質の見わけは他の呼吸器系、消化器系、精神神経系、循環器系、尿路系の疾患者に接する場合にも応用できるし、西洋医学の側も学ぶべき点ではないだろうか。

付言すれば
これは生体の流れは立体構造的なものであり、それに則した立体構造的な用薬法である。
 これに対し、西洋医学の用薬法は前にも述べた通り、生体の流れを横に切断し、平面構造的に対処症とする対象療法であるばかりか、重要な違いは、生物疎外の用薬法に堕しているということである。なぜ生物疎外かと言うと、例えばカゼを引いている病人に対し、病者に現われる諸症状(熱、咳、クシャミ、鼻水など)を一つ一つ取り出し、対象的に抑圧するか、有害微生物を的確に選定したまでは良いが、生物の正常な酵素系までブロックする反生物的な用薬法に終始しているからである。
 だだし、この吐・下・汗法の適用範囲は、ほぼ病気全体の約7割を占めるであろう可逆的病変群に対してのものであることを明記しておく。そして残りの不可逆的病変群に最適応するのは西洋医学である。ところが、いままでのところ、西洋医学は全能の神のごとく、あらゆる疾病群、可逆的疾病群にまで手を延ばし、そのため特に薬物療法のジャンルでは失敗を繰り返している。

    
      

第21回 「漢法講演会の夕べ」報告

  

 
 演題    :  
『気の概念について』
                    
       風水を信じますか? オカルトと科学の間

  講師   :     林  一  先生

「講演内容」

 “中国科学技術における気
 
・日本における技術をめぐる論争
日本では、戦前から技術をめぐる長い論争の歴史があった。我々は、そこから科学と技術を分離して考えることの必要性を学ぶ。

・中国科学技術と気
気とは何かを直接にいうかわりに、気は何であってはならぬか、を科学批判の立場から論じてみる。気とは何かは、正しい中国医学が成立した時に自ら語られるものであるからである。

・医学に見るその実例
科学技術が未成立のまま、すべてがごっちゃまぜにされていた。その現れの一つは、あらゆる「機能概念」「空想的な関係概念」の「実体化」である。合理的な風土の科学的利用は風水の類似科学に変わり、合理的な気功の習練は神秘的な類似技術に変わった。こうした誤った考えは取り除くには、近代科学の限界を「科学的」に捉える必要がある。

略歴 
1933年台北市生れ.
台湾大学医学部、理学部を経て、立教大学理学部卒業。
前昭和薬科大学物理学教授。

著書:
「中国医学は現代科学を履すか」
「日本の薬学教育」
「薬学のためのアリバイ工作」
「気ってなんだろう」
「楽しい相対性理論」
「やさしい相対論」
「シュレデインガーのアヒル」
「幻想交響楽マテーシス」
その他

訳書:
「ホーキング宇宙を語る」
「エレガントな宇宙」
「アインシュタインの語ったこと」
「フューチャー.サイエンス」
「ゲーテル、エッシャー、バッハ」
「宇宙のしわ」
[泡のサイエンス」
「宇宙を支配する六つの数」
「時間について」
「ビッグバンはなかった」

 

    

    

第20回 「漢法講演会の夕べ」報告

                            
演題  :
『国産生薬生産の現場から』

講師  :白井義数先生

漢方製剤は1992年をピークに生産量が低下しており、製剤原価を下げるため、低価格の輸入生薬への切り替えが一層すすんでいます。漢方原料の供給の安定や、品質の保証といった重要な問題について生産現場からお話がうかがいました。

略歴 
1933年京都生れ.
生薬製剤メーカー勤務後71年東道生薬共伸社設立.
87年国産生薬(株)に商号変更.代表取締役就任.
日本特殊農産物協会生薬専門部会委員.
日本東洋医学会漢薬原料調査委員会顧問.
東京生薬資源対策専門委員

   
  

第19回 「漢法講演会の夕べ」報告

  演題  :『漢方と薬局製剤』
                  
  講師  :三上正利先生
 

日時 :2002年2月7日
会場 :池袋『豊島区立勤労福祉会館』

現在開局薬剤師として、また薬剤師会その他の要職にあってご活躍中の三上正利先生をお迎えして、漢方治療を中心にすえた長年のご経験の一端と、薬局で接する患者さん、医療とくすり、薬剤製薬の漢方薬、医療の中での薬剤師の役割など、多面的なお話をうかがいました。
 

略歴 
1967年東京薬科大学卒。
東大付属病院薬剤部を経てミカミ薬局開局。
武蔵野薬剤師会副会長、中央薬事審議会臨時医院など歴任
日本薬剤師会薬局製剤漢方委員会副委員長。
日本漢方協会副会長。

    
  

第18回 「漢法講演会の夕べ」報告

演題  : 『脳神経外科領域と漢方』

講師  :
  藤本  司先生
      
昭和大学藤が丘病院 
      脳神経外科教授

日時 :2001年 11月 1日
会場 :五反田【ゆうぽうと】

 脳神経外科領域においても、東洋医学的な病態の把握のしかたが重要であり、また漢方療法も大変有用であると思われます。病気ではなく病人をしかも、一人一人の病人を診ていかないと本当にその人に喜んでいただけれるような結果をもたらすことは難しいわけで、そういう観点からも漢方への期待が高まってきております。脳神経外科の外来を訪れる患者さんの6〜7割は頭痛を主訊としており、そのうちの慢性的あるいはその急性増悪したと思われる頭痛の7〜8割を緊張型頭痛が占めています。緊張型頭痛は色々な因子が関係しており、治療に抵抗性を示すことが多く、極めて人間的な病態といえます。緊張型頭痛を中心に脳神経外科における漢方を考えてみたいと思います。

    
  

第17回 「漢法講演会の夕べ」報告


演題: 
『看護婦の基本的責任』
講師:
 本間 ヨシミ先生
     (順天堂大学付属順天堂医院・婦長)

日時:2001年 8月 10日
会場:東京・五反田【ゆうぽうと】

医療は、治療と看護という2本の柱でなりたっているといわれます。病んだ時、看護婦さんによって病気の不安や苦情が軽減されたり治ろうとする意欲を取り戻したりした経験は、誰にもあることでしょう。今、医療にいろいろな問題が起っています。

   
   

第16回 「漢法講演会の夕べ」報告

  演題:    『はり・灸の話』
  講師:
     大坪 邦夫先生
            (鍼灸師)

日時:2001年 5月 10日
会場:東京・五反田【ゆうぽうと】5F  

鍼灸の臨床家 大坪邦夫先生に、鍼灸の目から見た人のからだ・やまい・治療についてお話をお聞きしました。病んだ時、人の体の歪みは、体表にもいろいろな変化として表現されることがあります。実際にはその手技も見せていただいて、はり・灸の魅力やその奥深さにふれさせていただきました。助言者として伊沢和光先生(整形外科医)、庄司良文先生(薬剤師・鍼灸士)にもいろいろとお話をいただきました。

  
  

第15回 「漢法講演会の夕べ」報告


当財団の伊沢凡人先生の「漢法講話」をお話していただきました。漢ポーと呼ばれているものには、三種類のものがあると思いますが、用薬の発想という新しい視点でこれらを見直すと、対象療法の立場で西洋医学的に薬を使うのが今の漢方の主流となっていると先生は指摘されていました。テキストは、唐治本傷寒論をお使いになられました。

演題:    『漢法って何だろう :2 』
講師:
    
 伊沢凡人先生
        (漢法科学財団主宰・医学博士)

日時:2001年 2月 1日
会場:東京・五反田【ゆうぽうと】

講師略歴:東京大学医学部・生薬学教室選科卒
       日大講師、東京都嘱託を経て現在いざわ漢法クリニック顧問。
  
著書  :「薬草全科」「原色薬草植物事典」「和法」「排泄健康法」
      「原色薬草」「薬学の創成者たち」「薬草と野草の効用」

「薬草図鑑」

薬草の大家である、凡人先生渾身の力作。薬草の誤った情報を是正し、正しい薬物療法の観点で書かれた本。
“現在のように自然が破壊を余儀なくされた環境下において、たくましく生き続ける薬草・薬木たちの数々は、今改めて私たちに、これらのことについて、無言の主張を投げかけているように思えます。凡人
   
   

*「ミニ講義」               

     【新しい病態への漢方処方生薬エキス製剤の応用】  庄司氏より


01:
再発性アフタ 
◇口粘腔膜に多数の有痛性小円型潰瘍(=アフタ)を形成し、反復する
◇口粘腔膜にみられる丸い白色の表面の偽膜性線維性炎症
○口粘腔膜疾患→消化器系の熱の症状→清熱剤の適用→茵陳蒿湯、等
○温清飲+非ステロイド性消炎剤→効果発現は緩慢→約3ヶ月位して効果発現
○精神的ストレス過多→肝欝化火→背景となる精神的緊張感を寛解→柴胡剤
○消化器系症状顕著、食欲異常(食欲亢進)、悪心→半夏瀉心湯、黄連湯
○炎症症状顕著、粘膜発赤顕著、口渇→陽熱亢盛型→黄連解毒湯、茵陳蒿湯
○慢性化、難治性、殊に女性、現代薬併用→陰虚内熱型→温清飲
○虚タイプ、食欲減退、易疲労、倦怠感→脾胃虚弱→補中益気湯
○心身症傾向顕著、全身性症状随伴→肝欝化火型→大柴胡湯→小柴胡湯


02
過敏症腸症候群
◇愁訴症状にみあう器質的病変の見出せない腸管の機能的疾患
◇神経過敏(精神的ストレス)、便通異常(下痢or便秘)、腹痛、腹部膨満感
○過敏症腸症候群のfc方剤A→桂枝加芍薬湯→腹部膨満感、腹痛、下痢、等
○過敏症腸症候群のfc方剤B→四逆散→心身症」としての対応→主として柴胡剤
○便通異常顕著(下痢、軟便、便秘)
   下痢型→人参湯(虚タイプ、食欲不振、等)、半夏瀉心湯、黄連湯、等
   冷え型(冷え性・めまい等を合併)→真武湯(←腸間水分再吸収亢進)等
   便秘顕著→潤腸湯、麻子仁丸、大黄甘草湯、等
○慢性化、倦怠感顕著、消化器系症状顕著→補益剤→補中益気湯、六君子湯、
○慢性化、しばしば水様性下剤を繰り返す、炎症性腸疾患→柴苓湯


03:パーキンソン病
◇筋緊張の調節障害→運動障害を主徴とする慢性進行性の変性疾患
◇四主徴→筋固縮、無動、振顫、姿勢保持障害。
○手足の振顫・固縮→筋肉の痙攣→(肝は筋を主どる→)肝の病的亢進状態
    →抑肝散、抑肝散加芍薬厚朴、抑肝散加陣皮半夏
○手足の振顫・固縮→筋肉の痙攣
    筋肉の緊張を緩めることを目標→芍薬甘草湯(ないし合方として)
○消化管蠕動の亢進があるとき→気虚に至る前の特殊型→桂枝加芍薬湯
○易疲労、食欲不振(胃排出能の低下)などの気虚が顕著→六君子湯、等
○軽度の嚥下障害、不安神経症傾向、等→半夏厚朴湯


04:ドライアイ
◇ドライアイ=dry eye、涙の量が減少して眼が乾く状態
◇涙液の量的低下、質的異常、涙液の過蒸発、等→角膜・結膜に乾燥性糜爛
◇VDT症候群←頭痛、頭重、肩こり、眼精疲労、ドライアイ、等
○対症療法→乾燥症状を狙う(うるおす)→滋潤剤→麦門冬湯、等
○背景に精神的ストレス→肝の失調→眼精疲労、眼に熱感、眼乾燥感→柴胡剤
○背景に加齢化現象→腎の失調→腎機能低下→津液枯渇、老人性→補腎剤
○背景に虚弱虚損体質→脾の失調→飲食不摂生、水液散布不足→補気剤
○上気道の乾燥性症状(鼻閉、口渇)、眼乾燥感→肺の失調→辛夷清肺湯


05:川崎病

◇4才以下の乳幼児に好発する疾患で、5日以上続くと発熱、四肢末端の硬性浮腫、
  眼球結膜の充血、口腔粘膜の発赤、発疹、リンパ腺膨張(頚部)、等
◇後遺症として重篤なものは→急性期に形成された動脈瘤・動脈硬化の進展
◇治療の中心はアスピリン←血小板凝集障害作用をもつので好都合
○口腔内発赤、眼球結膜充血→熱証と考えられる→黄連解毒湯、温清飲、等
○急性期の浮腫(四肢末端、全身性)→五苓散→猪苓湯、木防巳湯、等
○急性期を過ぎた関節炎→桂枝加苓朮附湯、薏苡仁湯、等
○回復期→虚証と捉えられる→柴胡桂枝湯、小建中湯、補中益気湯、等
○冠状動脈の狭窄→冠心U号方


06:シエーグレン症候群

◇眼球および口腔内乾燥症状を主徴とする非特異性慢性炎症疾患
◇乾燥性角結膜炎、唾液腺膨張、多発性関節炎、を主症とする疾患郡
◇外分泌線の他、肺臓、腎臓、神経なども侵襲する全身性疾患
○乾燥症状が中核→麦門冬湯、滋陰降火湯、八味丸、等の滋潤方剤
○口腔内乾燥→口渇を目標→白虎加人参湯、越婢加朮湯、等の清熱方剤
○慢性化・老人性の乾燥症状→(滋潤方剤)→滋陰降火湯、炙甘草湯、等
○口唇乾燥と上熱下寒、肩凝り、のぼせ感、顔のほてり、等→温経湯
○咽喉の違和感異物感→半夏厚朴湯、柴朴湯、等


07:慢性疲労症候群
◇疲労感強い→身体的検査で異常なし→心因性の可能性も残存
◇但し、基本的には身体疾患激しい疲労感を主訴とする疾患
◇微熱、咽喉痛、リンパ節の膨張、筋力低下、筋肉痛、などの多彩な自覚症状
◇全身倦怠感・疲労感→パワー不足、エネルギー不足→補益薬剤
◇易疲労、疲れを自覚し易い、疲れを積極的に訴え易い→背景に心因
○全身的な無力感が主、声咳無力、飲食無味、ねあせ、等→補中益気湯、等
○顔色不良、消化器系症状顕著、食細い、等→六君子湯、人参養栄湯、等
○倦怠感軽度、冷房病、寒冷に因り悪化、等→五積散、当帰四逆加呉姜湯、等
○特に小児、夜尿症、冷え、腹痛、下痢軟便、等→小建中湯、等
○特に老人、夜間症、冷え、腰痛、等→八味丸、牛車腎氣丸、等
○不安感に付随した疲労倦怠感、微熱、等→柴胡桂枝湯、小柴胡湯、等
○特に女性ないし女性的性格男性、更年期障害、等→加味逍遥散、

    

  

*「ミニ講義」開設

 学会報告   (庄司氏より) 
  [日本東洋医学会学術総会レポート]

A:葛根湯の末梢循環に対する検討   「矢久保 修嗣;日大医」ら
サーモトレーサーによる検討では、
葛根湯は肩こりに関連した部位の血液循環改善が効果発現の機序として考えられる。健常成人男性6例を対象とし、超音波ドプラー法によりリニアスキャンにて左肩付近の僧帽筋内にある動脈に対する血流速度を評価した。葛根湯エキス製剤1日分量を投与し、投与前、投与後に血流速度を測定した。僧帽筋小動脈の血流変化を見ると、対象ではほとんど変化していないが、葛根湯エキス製剤服薬前後の変化率が40分後に有意な増大を認め、末梢血流が増加したことが考えられた。葛根湯は従来より上半身によく効くと言われているよう、葛根湯による肩こりの改善の機序として、僧帽筋の動脈血流を増加することが考えられた。

B:麻黄と抗炎症剤の併用療法についての検討
C:漢方調剤の院外処方箋に関するアンケート
D:辛夷による蕁麻疹と考えられる1例
E:慢性関節リュウマチの月経時関節痛に駆お血剤の応用
F:夜間頻尿、湿疹EDに対し、本治として用いた桂枝茯苓丸が著効3例
G:小児アトピー性皮膚炎における易感染状態に対する補中益気湯の効果
H:女神散をアトピー性皮膚炎に応用した2例
I:ステロイド吸入薬による口内炎,咽頭刺激症状に対する桔梗湯の効果について
J:糖尿病患者の生命予後に対する漢方治療の効果

  
    

*「ミニ講義」開設に関して

 

講演会のより一層の充実を図るべく、その前座として「各種漢方学会、最新医学トピックス」「方剤の解説」「漢方入門講座」他のミニ講義を実施しております。 
次回は庄司or 佐藤が担当して話をします。
皆様にも“こんなタイトルで”ミニ講義をして欲しい、という希望がありましたら、
是非、事務局(服部)まで、ご一報ください。 

漢法科学財団友の会事務局
TEL03−3291−6679