“状況による使い分けで副作用なく”
朝鮮人参は、昨今のブームのなかで濫用されすぎたため、血圧が上がったり、興奮症状の出現などの副作用が問題になったが、正しく使いさえすれば何ら問題はなく、補腎薬の王様としての価値には今でも変わりがない。
どんなに良いものでも効果の裏には必ず反作用を伴うものである。個々の性質をよく理解して、状況によって使い分ける必要がある。たとえば、ウコギ科の人参類にはいろいろな種類があるが、補気(元気を補う)作用という面では共通した薬効を持ちながら、それぞれ特有の性質も持っている。
朝鮮人参が温熱性で興奮作用があるのに対して、西洋人参は逆に涼性(体を冷やす)で、滋潤(体液を増やす)作用もある。
田七人参は温性で活血(血行促進)作用と止血作用を合わせ持つ。シベリア人参(五加参)は温性で抗ストレス作用と睡眠促進作用が特徴である。同じ気虚(気の不足)の人を治療する場合でも、熱感がある人に対しては西洋人参が適しているし、冷える傾向の人には朝鮮人参が向いている。お血(血の滞り)や出血傾向のある人には田七人参を用いるとよく、不眠やストレスを伴う人にはシベリア人参が最適である。
袁 世華(中国・長春中医学院教授)
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