ヨモギ:モチグサ科


ヨモギ
という名は、
春になると、そこら一面に萌えるがごとく若芽がふき出し、「よく萌えでる草」だからヨモギ、モグサにして「よく燃える草」だからヨモギなどと名ずけられた。
ヨモギの葉を風通しのよいところで陰干しにしたものが
ガイヨウ(艾葉)である。
ヨモギの中には、収斂止血作用のある成分が含まれており、それで、昔は、畑や田んぼで仕事をしている時に、鎌などで軽い傷を負うと、手近にあるヨモギの葉を数枚摘み取り、口中でかみくだいて、患部につけて
止血した。

葉には
ビタミン、ミネラル、タンニン、葉緑素、アミラーゼが含まれている。ミネラルの中でも、カリウムが多く含まれており、利尿作用などを促してくれる。また、タンニンも多く含まれており、消炎、収斂作用も促してくれる。
艾葉は体を温め、食欲増進、胆汁分泌促進、止血等の作用がある。

漢方処方では

キュウキキョウガイ湯(センキュウ、甘草、艾葉、当帰、芍薬、地黄、阿膠)、キョウガイ湯などに配合されている。
クスダマ(薬玉)とは
昔から冠婚葬祭のとき、「薬玉」(くすだま)を贈る風習があった。今でも開店のときなどにお祝いとして贈られたりしている。当時の薬玉はヨモギに五色の絹糸を結びつけたものだといわれている。その後、ヨモギの他に木香、沈香、丁字、甘松、竜脳など芳香のよい生薬を錦の袋に入れ、これに、ヨモギ、ショウブ、造花などを飾りつけたと言われている。「“薬玉”を佩いて、飲酒する人は、命長く、福ありとなきこしめす。」と昔は、良い香りのするところには、陽気で、悪い病気など起こらないという考えがあってヨモギが薬玉に用いられていたようだ。


飲み方は
5〜10gを約600ccの水で半量になるまで煮つめ、かすを除いて1日3回食間に分服する。

浴剤として 
ヨモギは浴剤としてもよく使われる。特に、痔の人には、収斂止血作用があり、精油成分が血行を良くしてくれる。

お灸 として
お灸 に使用するモグサはヨモギから作る。乾燥した葉を細かく砕いて、粉末になった部分を取り除くと、葉の裏の綿毛だけが残る。子の綿毛を集めたものがモグサである。