9.  お茶でガンを妨げるか

      - 日経ヘルス  -2000/10-

 
米国立ガン研が臨床試験を開始)

ガンを本当に予防できる食品は何か。
ガン研究では世界最高峰の折り紙付きの米国国立ガン研究所(NCI)は、その第一番手を「お茶」とみている。NCIは今夏から、お茶の有効成分を含むクリームを皮膚がんになる危険度が高い患者に塗り、皮膚がんを予防できるかを確認する臨床試験を始めた。「皮膚がんに続き、前立腺ガン、大腸ガン、食道ガンに対する予防効果を調べる計画」を、NCIガン予防剤開発部のケロッフ部長は語る。NCIは96年末ごろからお茶のガン予防効果に着目。3年半かけてフェーズTと呼ぶ臨床試験を行い、人間に安全である事を確認。いよいよ、ガンに有効かどうかの判定を下すフェーズUの臨床試験に入ったのだ。
お茶は
かつて、薬として珍重されてきたことからも、病気予防効果があると日本でも注目されてきた。しかし、お茶のどの成分がガンに効くかはまだ判明していない。緑茶の葉にはカテキンが約15%含まれる。カテキンはポリフェノールの一種で、体の老化を防ぐ抗酸化作用が強い。NCIはこのカテキンの主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCg)という物質に注目。EGCgのガン予防効果を確かめようとしている。
緑茶は
ツバキ科に属し中国南部に起源をもつとされるカメリア・シネンシスという植物の新芽が原料。茶葉の成分をお湯に煮出して飲む「喫茶」の風習は、数千年も前に中国に始まり、日本に伝わった。当初は薬用として利用され、茶祖の栄西禅師は「養生の仙薬、延命の妙薬」と呼んだ。


米国と日本で検証が進む緑茶カテキンのガン予防効果

1.米国国立ガン研究所・ガン予防剤開発部
カテキンを含む軟膏を、日光性角化症患者の病変皮膚ぬ塗布して皮膚ガンの予防効果を調べる臨床試験を2000年夏がら開始した。臨床試験のフェーズUと呼ばれる段階だ。続いて前立腺ガン、大腸ガン、食道ガンについてカテキンのガン予防効果を調べる試験を開始する予定。三井農林が医薬品グレードの緑茶カテキン抽出物「ポリフェノンE」(エピガロカテキンガレートを60%、カテキンを90%含有、カフェインは0.5%程度)を供給している。三井農林が緑茶カテキン抽出物を「ポリフェノン」シリーズとして商品化。カフェインを3〜10%程度含むレギュラー品と、カフェイン0.5%以下の「S」シリーズとがある。

2.米国テキサス大学M.D.アンダーソンガンセンター
緑茶抽出物のカプセルをガン患者に投与して安全性や最大投与量などを調べる臨床試験フェーズTを99年10月までに終了。
効果を調べるフェーズU試験を2000年内に開始する予定。伊藤園がカテキンやカフェインを含む緑茶抽出物を供給している。伊藤園はカテキンを含む緑茶抽出物を「テアフラン」シリーズとして商品化。この中にはカフェイン1%以下の「90S」というグレードもある。