25. がん治療、「オーダーメード」へ検証        

朝日新聞2002・2・01


がん治療に使われる放射線や抗がん剤は、効き目や副作用が患者一人ひとりで違う。その違いを遺伝情報から見分け、体ひつに応じた 「オーダーメード治療」 をめざす全国的な臨床試験を、文部科学省の研究グループが始めた. 

国立大学病院が軸になり、三年間で患者一千人に協力してもらう。一般の総合病院も使える検査法を確立するのが目標だ。札幌医科大、癌研究会付属病院(東京)、愛知県がんセンター、京都大、九州大など8カ所の大学病院が参加し、東京大医科学研究所などが遺伝情報を解析する。
胃癌や肺癌、大腸癌、乳癌、白血病など日本人に多い7種類が対象。10近くの抗がん剤や放射線について調べる。抗がん剤はだれにもおなじに効くわけではない。効果が期待だきるのは患者の2〜4割といわれる.一方、下痢や吐き気、毛髪が抜けるとといった副作用は避けがたい。重いときは死亡することもある。実際に使ってみるまで詳しく分からないのが現状で、これを改めていくのが目的だ。
患者のがん細胞から、1人3万個以上とされる遺伝子のうち、約2万3千個を解析する。特定の遺伝子の働きと投薬効果との関係についての研究はこれまでにもあったが、これほど多くの遺伝情報をがん治療に応用するの初めて。遺伝子パターンから、あらかじっめ薬が効きやすい人と効きにくい人を見分けて抗がん剤を使い分ければ、治療効果は大きく上向く。効き目がない人が副作用に悩むこともなくなる。遺伝情報は個人のプライバシーなので、がん細胞を提供してもらう際は、国の指針に沿ってインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)を徹底する。
計画の中心になっている東大分子細胞生物学研究所の鶴尾隆所長は「効き目が乏しい薬を排除し、有効な薬を患者ごとに推定できるようになれば、がん治療の姿が大きく変わる」とはなす。