*狂牛病に関して・・・・

       14-1a   狂牛病って何?


1)狂牛病とは?
狂牛病(牛海綿状脳症 BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)は

の脳に小さな穴があいて運動神経に障害が起き、死に至る病気で、正式には牛海綿状脳症(BSE)
1980年代半ばに英国で初の症状が確認された。タンパク質の「プリオン」が病原物質とされる。BSEにかかった牛は脳を冒され、歩くこともままならなくなり死亡する。BSEにかかった牛の脳を顕微鏡で見ると、非常に細かい穴がたくさんあいたように見え、この様子がスポンジに似ているので、海綿状脳症と呼ばれるようにった。
英国やフランスでは、汚染された食肉を通じて感染した致死性痴ほう症の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者が次々と見つかった。潜伏期間が非常に長いため、欧州では現在も問題が続いている。

2)狂牛病はどこで?
狂牛病(
BSE)は
圧倒的に英国に多く(BSE全体の98%以上)はっきりとBSEの症状が出ている牛だけでも15万頭見つかった。その他のヨーロッパ諸国と、カナダなどでもBSEが見つかっているが、英国に比べて頻度ははるかに低くなっている。

3)狂牛病の原因は?
プリオンとよばれる特殊な蛋白が病原体といわれている。
プリオンは
冷凍にも料理の熱にもびくともせず、たちの悪い病原体。
羊にはBSEとよく似たスクレイピーという脳の病気が200年以上も前からあった。このスクレイピーは英国では、1970年代後半から1980 年代はじめまで、羊の死体を牛のえさにしていたので、BSEの大元はスクレイピーにかかった羊の組織(骨と肉)が混じっていたえさ(ボウンミール: bone meal)を食べたために発生したする説がある。
しかし、2000年10月の英国の報告書では、この説は採用されていない。スクレイピーとは全く別に突然変異で牛にBSE型のプリオンが生じたという説もある。いずれにしても、
BSEに感染した牛の神経組織や内臓を加工した動物性飼料を感染源に広まっていった。

4)乳及び乳製品は安全か?
TSEに関するWHO専門家会議報告によると、動物や人の海綿状脳症においても乳はこれらの病気を伝達しないこととされており、したがって、BSEの発生率が高い国であっても、乳及び乳製品は、安全と考えられるとされている。
                             照会先:食品保健部監視安全課
5)肉骨粉とは?
牛や豚などを解体した際、食肉になる部分を切り取った後に残る脳や内臓、骨などを加熱して脂肪を取り除き、圧縮乾燥させ、さらに粉砕したもので、主に家畜の配合飼料に使われる。
狂牛病は病原体である異常プリオンが混入した肉骨粉を介して、牛に経口感染するとされる。日本は狂牛病が大量発生した英国産の肉骨粉の輸入を1996年に禁止し、今年1月からは欧州連合(EU)からの輸入も禁止した。

*言葉の意味*
BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)  牛海綿状脳症.狂牛病の正式名称
bone meal  羊の骨を含む牛のえさで、BSEの原因となった。
CJD(Creutzfeldt-Jakob Diseas)  クロイツフェルト・ヤコブ病.人間の海綿状脳症。
prion プリオン(プライオン) 海綿状脳症の病原体
SBOs(Specified Bovine Offals)  脳,脊髄,リンパ節組織など,BSEの感染の危険性の高い牛の内臓肉の総称
scrapie   スクレイピー.羊の海綿状脳症


不適切部分の検体提供指示 農水省が千葉県に

国内で初めて狂牛病(牛海綿状脳症)と確認された千葉県産の乳牛が、最初の検査では陰性と判断されていた問題で、農水省側が組織を採取した千葉県に対し、検査用脳組織のうち、狂牛病の原因である異常プリオンが最も蓄積しやすい部分でなく、その周辺部の検体を検査機関に提供するよう指示していたことが二十七日、分かった。
最初の検査の検査キットを開発したメーカーは、周辺部は不適切で、蓄積部分を検査するよう再三にわたり求めており、農水省側も認識していた。検査についての農水省の指導の問題も問われそうだ。

 (共同通信)より

 

       14-1b    和牛の使用を見合わせ 狂牛病で焼き肉店チェーン  

2001/9/27   共同通信


焼き肉チェーン「牛角」などを展開しているジャスダック上場のレインズインターナショナル(東京)は二十七日、当分の間、和牛の使用を見合わせると発表した。
同社は安全が確認された和牛を使っているが、狂牛病(牛海綿状脳症)の影響で和牛一般に対する不安感が広がっているためと説明。当面は米国、オーストラリア産のみを使うとしている。もともと和牛の使用率は三―四%程度と少なく、業務への支障は特にないという。


       14-2 問われる「食の安全」確保       東奥日報/社説

2001年9月25日(火)


狂牛病が疑われていた乳牛が欧州産以外で初めての感染、と確認されたことで、県内の消費者の間にも不安が広がっている。消費者の牛肉離れが進むことが懸念される。狂牛病発生の可能性が欧州連合(EU)から警告されていたにもかかわらず、農水省の対応は後手に回り、国民の不安や不信感を増幅させた。しかも、いまだに感染経路は特定されていない。感染ルートの徹底解明を急ぐとともに、感染源とみられる牛の肉骨粉使用の全面禁止を求めたい。
今回の事態への農水省の対応の無責任ぶりにはあきれる。狂牛病と確認された問題の牛について農水省は当初「焼却した」と発表していたが、実際には肉骨粉として徳島県と愛媛県で飼料用に加工・流通していた。
そればかりではない。農水省は肉骨粉について「ブタやトリの飼料とするなら安全であり、牛には使わないよう指導してきた」と強調していた。
ところが、北海道の農場で肉骨粉入りの飼料を約千頭の牛に与えていたことや、山形県でも類似の事例が相次いで発覚した。農水省は一体どんな指導をしてきたのか疑問だ。狂牛病の感染ルートは、欧州各国と同様に英国で製造された飼料の原料・肉骨粉に端を発したとの見方が濃厚である。 しかし、この点でも農水省の説明は理解に苦しむ。一九八〇年以降、英国から輸入された肉骨粉はゼロ、としているのである。
英国側の統計では九〇年から九六年に三百三十三トンを日本に輸出したことが明らかになっている。この食い違いについて農水省は明確に説明すべきだ。日本でも狂牛病が発生する可能性は早くから指摘され、今年六月には欧州委員会が狂牛病侵入の危険性を警告したほどだ。にもかかわらず、農水省は「日本の場合は安全」として「対岸の火事」とみなしてきたようだ。そんな楽観的な態度と危機意識の欠如が検査態勢の遅れと相まって最悪の事態を招いたと言える。
問題は今後の対応だ。厚生労働省は急きょ対策本部を設置し、食肉処理される生後三十カ月以上のすべての牛を検査することを決めた。だが、時期は来月下旬からという。消費者の不安が広がっており、もっと早く検査すべきだ。 感染経路についても特定されていない。問題の乳牛を出荷した北海道の元酪農家も、購入した千葉の農場主も肉骨粉が含まれた飼料は使っていないという。ならば、どんな経路で感染したのか。調査対象を広げるなど徹底した感染源の究明が必要である。
感染ルートが分からなければ感染を食い止める対策も不十分である。そればかりか、感染のさらなる拡大が懸念される。万全の措置を求めたい。
日本ではこのところ食品の安全性確保がなおざりにされている。集団食中毒事件は毎年のように繰り返されている。遺伝子組み換え食品や環境ホルモン、農薬漬けの輸入農産物など食をめぐる環境は悪化するばかりだ。
食料自給率が低く輸入に頼らざるを得ない日本にとって食品の安全性確保は最優先される課題だ。食品の場合は「少しでも疑わしいものは使用せず」が原則ではないだろうか。
国内初の狂牛病が発見され、日本もとうとう狂牛病国になってしまったが、EUと同様に肉骨粉の全面使用禁止に踏み切るべきだ。ブタやトリの使用を継続したとしても、混入して感染を広げる恐れがある。早急に肉骨粉を飼料全体に使うことを禁止すべきだ。
学校給食で牛肉を見合わせるなど日増しに「狂牛病不安」が広がっている。政府や関係業界の万全な対策が急務である。

 

 

        14-3 肉骨粉の輸入、一時全面停止を検討 農水相が会見で       

2001/9/25   朝日新聞


国内初の狂牛病が確認された問題で
武部勤農水相は25日、肉骨粉の輸入を一時、全面的に停止する方向で、厚生労働省や財務省など関係省庁と協議を始めたことを明らかにした。
輸入肉骨粉については
21日に開かれた専門家による技術検討会と防疫委員会の合同会議で、委員側が農水省に対して、輸入停止を検討するよう提言した。狂牛病が多発したEU(欧州連合)諸国からの輸入は、すでに今年から禁止している。
輸入肉骨粉は、EU以外で、00年に12カ国から計約13万トンを輸入している。
国内での肉骨粉使用は、豚や鶏の飼料用などに限られており、牛の飼料として使うことは禁止されている。しかし、各自治体の調査で一部の農家が豚、鶏用の肉骨粉を牛に使っていたことが明らかになった。
武部農水相は
国内産の肉骨粉の使用禁止については「産業廃棄物として処理することが可能かどうかや、焼却施設の問題など、関係各方面にわたる問題があるので、慎重に検討する必要がある」として、明言を避けた。

 

        14-4 「狂牛病」牛が生まれた農場の牛 2頭が埼玉で食肉用に処理      

2001/9/25   読売新聞

国内初の狂牛病と確認された乳牛が生まれた北海道佐呂間町の元農場から、埼玉県内の家畜商に売却された乳牛3頭について、同県は24日、うち2頭は県内で健康牛として食肉用に処理されていたと発表した。残る1頭も同様に食肉処理された可能性が強いとみている。
県によると、食肉処理されたのは、1頭が1998年9月、もう1頭が昨年8月で、いずれも異常はなかったという。
この結果、佐呂間町の元農場で96年3月以降に飼われていた71頭のうち、食肉用や肉骨粉などになったり、病死したりした牛は48頭、生存が確認されたのは21頭(一部は検査のため処分済み)、いまだに行方が特定できないのは2頭となった。
また、狂牛病の感染源とされる肉骨粉が、広島県内の和牛繁殖農家1戸でも牛6頭に使われていたことが24日、同県の調べでわかった。98年ごろから先月末まで肉骨粉が含まれた鶏用飼料を与えていた。これで肉骨粉などの牛への使用が確認された畜産農家は8道県で41戸となった。


◆豪も日本産牛肉禁輸
  
【シドニー24日=平井道子】

オーストラリア政府は
24日、日本産の牛肉と牛肉関連製品の輸入禁止を決めた。このほか生き牛や乳製品など関連製品の輸入も禁止する。日本で狂牛病の発生が確認されたことに伴う措置だ。
豪農水省によると
日本産の牛肉の輸入量は高級牛肉を中心に年間2トンで、全輸入牛肉の0・2%に過ぎない。日本産の牛肉については、韓国などがすでに輸入禁止を決めている。

 


    14-5a 狂牛病確認  恐れず万全の対策急げ /沖縄タイムズ 社説

  2001/9/23

 

千葉県で見つかった乳牛一頭が、狂牛病(牛海綿状脳症)に感染していたのがはっきりした。農水省が検査を依頼していた英国獣医研究所が「クロ」との結論を出したためだ。
陽性反応が出た時点で感染は間違いないとみられていた。しかし、東アジアで初の狂牛病確認である。すでに香港などが日本産牛肉の輸入を禁止するなど影響も出ている。
今のところ新たな感染牛は見つかっておらず、日本で多数の牛が感染している可能性は低いとみてよいだろう。冷静に受け止めたい。
 今後、畜産農家の動揺を抑えるには感染源を突き止め、被害拡大を食い止めなければならない。消費者への安全対策も重要だ。不安をあおる風評被害を起こさない対応が急務となる。今回の感染経路は、言われるように狂牛病が猛威を振るった英国から輸入した「肉骨粉」とみられる。家畜の解体で残るくず肉や骨から加工する肉骨粉が、欧州では狂牛病の「運び屋」となり感染が広がった。
狂牛病とされた五歳の乳牛は、二歳まで北海道で飼育され、その後千葉へ出荷された。北海道のころに汚染肉骨粉の飼料を食べたとされる。
しかし、汚染の肉骨粉が国内へどのように入ったか、感染時期などを特定するのは難しい。感染の究明とともに、ほかに感染した牛が存在しないか徹底した調査が迫られよう。
国内での発生の危険性は少ないと、欧州連合(EU)による第三国評価を途中で拒否した政府の手ぬるい対策が、狂牛病の流入という事態を招いた。もはや対策の失敗は許されない。
厚生労働省は、歯止め策として処理場での「生後三十カ月以上」の牛百万頭すべての検査を打ち出している。
全国の学校給食で牛肉の使用を見合わせる動きもあり、「食の安全確保」に対する消費者の不安を考えれば当然の対応といえよう。
しかし農水省は、検査が必要なのは六十五万頭と見込むなど、双方の検査数には大きな開きも生じている。牛が家畜の間は農水省で、食肉に加工する段階で厚労省管轄となる。今後の対策に、これまでのタテ割り行政が持ち込まれるようでは過ちを繰り返すことになろう。垣根を越えた取り組みが欠かせない。
県農水部の調査だと、県内で流通する牛の飼料は一九九六年以降肉骨粉を使っていないという。九五年以前は、調査中だか「可能性は低い」と見ている。輸入牛肉も安全としている。
だが油断は禁物だ。調査の手を緩めず万全な対策を求めたい。

 

         14-5b  牛の脳、せき髄、小腸など 非感染でも廃棄義務付けも…厚労省検討       

2001/9/23    読売新聞

厚生労働省は
22日、国内で初めて狂牛病の感染が確認されたのを受け、牛の脳やせき髄、小腸など食べると人に感染する可能性があるとされる「特定危険部位」について、感染の有無にかかわらず、食肉処理時の廃棄義務付けの検討など、取り扱い方法の見直しに入った。
現在、狂牛病に感染した牛の肉は焼却による廃棄処分が義務付けられている。しかし、狂牛病は、原因とされる病原体たんぱく質プリオンがある程度蓄積されないと発症せず、検査でも検出されない可能性がある。このため、同省では、感染が確認されていない牛についても、特定危険部位が市場に出回らないようにすることで、食肉の安全に万全を期したいとしている。
廃棄を義務付ける具体的な部位や、対象となる牛の範囲などは、近く開かれる同省の研究班会議で検討する。  同省食品保健部は「狂牛病発生国となったことで、食肉の安全を守るための基準の見直しを行わざるを得ない」と話している。


肉骨粉、豚や鶏に使わぬよう指導 千葉県が独自対策
千葉県は
22日、県内の酪農家などに対し、感染源と疑われる家畜飼料用の肉骨粉を、豚や鶏の飼料としても使用しないよう指導することを決めた。牛の飼料としては、罰則付きで禁止している農水省令よりも踏み込んだ独自対策となる。
堂本暁子知事は、県牛海綿状脳症防疫対策本部の会議終了後、「豚や鶏用でも牛に使われることがあると聞いた。豚や鶏にも使用を自粛することが、牛も食べなくなるということだ」と語った。
また、同県は乳製品などの風評被害の恐れがある中小事業者に対し、金融支援を実施することも決めた。26日開会の県議会を踏まえ、具体的な支援策を早急に検討する。


         14-6 ランダ産牛肉から狂牛病規制に抵触する脊髄を発見(英食品基準局 )         

ロイター :   2001/3/6


英国の食品基準局(FSA)は
オランダから輸入した牛肉のなかから牛海綿状脳症(狂牛病)予防対策として適用された規則に抵触する危険物質が発見されたことを明らかにした。FSAは、骨髄の痕跡を発見したが、これは欧州連合(EU)が家畜を屠殺した際に取り除く必要があるとしている高リスク物質リストに含まれている、とした。FSAは声明で、同一のオランダ企業の加工品からここ数日内で2度目の骨髄が発見されたことになる、とした。国内初の狂牛病が確認された問題で、武部勤

 

        14-7 狂牛病に関連し商品点検/ 

厚生労働省


厚生労働省通達を受け/化粧品の一部扱い中止も/牛の脳、せき髄、小腸など
EUにおける狂牛病(BSE)の発生で、昨年十二月十二日、厚生省(厚生労働省)は都道府県に対し「ウシ由来物を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について」の局長通達を出した。また農水省も今年一月一日よりEUおよびスイス、リヒテンシュタインからの肉骨粉等動物性加工蛋白及びウシ由来の肉、臓器、精液、受精卵等の輸入を全面禁止した。厚生省通達は生協では化粧品が該当する。通達では、1)BSE発生国および発生リスクの高い国を原産国とする原料使用の禁止、2)1)に限らずBSE伝播の可能性の高いウシ等の部位の使用の禁止。厚生省によると、業界の対策ができたところで禁止の措置をとっていく。また、ネガティブリストを作り、化粧品もその中に入れていくという。
日本生協連は厚生・農水の通達に沿って食品・化粧品を点検、プラセンタエキスを使っているコープ化粧品一点は、ドイツ産でEU基準に沿った検査証明書があるので現状のまま継続、いずれビタミンCに変える。水溶性コラーゲン、ゼラチン、加水分解エラスチンなどは対象外だった。
生活クラブ連合会は全商品のチェックを行い、プラセンタエキスを使用している化粧品三品を取り扱い中止とした。 
首都圏コープ事業連合はプラセンタエキス配合化粧品十四品目は原産国がアメリカ、オーストラリアであるため直ちに取り扱いの中止はしないが、ウシ等に由来しない代替原料への切り替えを準備中だ。
    ◇
<厚生労働省通達>
【 BSE発生国 】 

 英国、スイス、フランス、アイルランド、オマーン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ
【 BSEリスクの高い国】
アルバニア、オーストリア、ボスニア、ヘルツェゴビナ、ユーゴスラビア、ブルガリア、クロアチア、チェコ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、イタリア、マケドニア、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スペイン、スウェーデン
【 リスクの高いウシの部位】
脳、脊髄、目、腸、扁桃、リンパ節、脾臓、松果体、硬膜、胎盤、脳脊髄液、下垂体、胸腺または副腎